AIが上司になる日

【AIマンガ】報連相⑥AI部長のアドバイス(相手もAI編)/AI上司/AI Boss22

AIと共存する社会Society 5.0。社員はみんな「部長アプリ」をインストール済。すっかりアプリの恩恵にあずかっています。

外出先でも、AI部長から実に的確なアドバイスが受けられるため、最近では、どの営業マンも部長に頼りきり。

事前に「有力な情報」を手に入れた営業マンは、今日も意気揚々と先方のオフィスに乗り込みます。AIの事前レクチャーは、今回も圧倒的なアドバンテージになるはずが? AI Bossシリーズ第22弾。

1、AI部長のアドバイス/相手もAI編





AIに関するニュース記事には、首をかしげてしまう内容も散見されます。その一つが今回のエピソード。

AIを導入すれば(相手より)大きなアドバンテージが得られる、という論調です。残念ながら、競合より「優位」に立てるのは僅かな期間。すぐに追いつかれてしまうでしょう。

確かに、ビックデータ解析による営業支援は、営業マンには強力な「武器」となる。ですが、それは「競合相手」も同じです。

一方の攻撃能力が上がれば、もう一方は更にレベルを上げる。軍事競争と同様、いたちごっこが続くのは、歴史が証明しています。

また、AIの導入合戦ともなれば、競合との実力はますます拮抗するでしょう。相手より「高額なAI」を導入したからといって、AI自体の能力に差があるとは思えません。

むしろ勝敗の原因は、AIの支援を受けていながら、それを活かしきれない人間の方にありそうです。

【AI部長の営業サポート/光】
前回【報連相④AI部長のアドバイス直球編/Boss12】は、外出先で「部長アプリ」が突然起動。部長の「直球指示」に社員は驚きましたが、今回は自分で起動させ、積極的にAI部長にアドバイスを求めています。

AI部長の能力は凄まじく、社員がこれまで先方と打合せしてきた「全履歴」や、脈々と受け継いできた経験知(暗黙知)ですら、データ化(形式知化)してクラウド上に保有。膨大なデータから「関連性」を即座に見い出し、利用が可能です。

このため、取引先の企業情報だけでなく、交渉上優位と判断すれば、相手担当者の「クセ」や「考え方」「嗜好」まで教えてくれます。これで、営業の質は格段にUPするでしょう。

ただし、AIに頼れば頼るほど「ヒト」の能力は低下し、あっという間に思考は停止するでしょう。

本来、相手担当者の「個人的な情報」なんて、本当に必要な時以外は使わない、文字通り「隠し玉」なハズ。

AIが、交渉上優位だからと「ロジカル」に判断したところで、そのネタを使うかどうかは、私たち「ヒト」が経験と直感(暗黙知)に基づき、最終判断すべきものですね。

【AI部長の営業サポート/影】
ところが、AI支援により業務品質が向上するのは相手も同じ。AI部長の素敵なアドバイスも、両者とも似たような支援を受けているならば、闘う「土俵」は同じです。

つまり、競合相手より優位に立てるかどうかは、現在の状況と少しも変わらないのです。

今回、AI部長の「読み」では、先方が「うれしい事、興味ある事」に的を絞り、親近感を持たせるハズでした。

しかし、相手側AIは、この「読み」も想定した上で、更に一歩先を「読んで」います。

社員が密かにコンプレックスに感じている弱み。実は、先方も同じ悩みを抱えている事がわかると、安心感から、一気に「相手のペース」に載せられてしまいます。

先方のAIがガッツポーズした瞬間ですね。

勝つためには、いったい「何歩先」まで読めばいい?

囲碁や将棋でAIどおしが勝負するならまだしも、曖昧で不確定要素が強い「ヒト」を駒として勝負する限り、AIとて、明確な勝ちパターンは見出せないでしょう。

AIによる先の「読み合い」も軍拡競争と同じ。これもまた「いたちごっこ」です。

2、まとめ

・AI支援により業務品質が向上するのは競合相手も同じ
・AI導入合戦で決定的に優位に立つのは難しい。相手より高額なAIを導入しても、AI自体の能力に大きな差はない

・蓄積した膨大なデータから、案件との「関連性」を即座に見い出し利用できるAIの能力は、ビジネスでは大きな即戦力

・AIに頼るほど、ヒトは思考を停止させ、能力低下が懸念される

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