AIが上司になる日

【AIマンガ】出張みやげ(法多山の団子編)/AI上司/AI Boss20

AIと共存する社会 Society5.0。「宿泊出張」ではお土産を買い、「日帰り出張」ではお土産無し。お土産ルールも職場によって色々ですね。その土地にしかないお土産は、少量でも喜ばれるものです。

静岡の袋井市「法多山」でしか売っていない「厄除団子」も、評判のお土産の一つ。出張を終えた彼女は、少し遠回りして、気心が知れた上司と同僚にお土産を買ってきました。AI Bossシリーズ第20弾。

1、出張みやげ/法多山の団子編




2、AI上司の人格(AI格)

①AIの配属が職場の「慣習」を変える

こうやって絵にすると、突っ込みどころ満載ですね。「そりゃあそうでしょうね」で話が終わりそうですが、そこで働く当事者は、もう少し「重い事情」を抱えています。

AI上司にお土産を買ってくる部下に「違和感」を感じるのは、いかにも「機械」っぽいAI部長の外観のせいでしょう。

ただし、今後職場に配属されていくであろう「AIワーカー」の見た目が、機械テイストだとは限りません。彼らの外観は、いくらでも「リアルな人間」に寄せることが可能。近い将来「ドロイド」だと気づかないAIワーカーに仕上がっているかもしれません。

さて、そんな「AIワーカー」が一人でも職場に配属されると、これまで、私たちが続けてきた「慣習」や「お約束」の類は、その「意味合い」を一気に変えてしまいます。

このまま続けていくべきか?すべて再考を迫られるでしょう。お土産はその一例に過ぎません。

②お土産で露呈するAI上司の人格

この担当者には、昔からお土産を買う習慣がありました。上司がAI部長に変わった今回、お団子を買う前に、幾つかの選択を考えたハズです。

【お土産を買うか・買わないか】
① AIワーカー以外(ヒトだけ)に買う

AI部長やAI担当者をスルーして、ヒトだけ配るのは気まずい
②AIワーカーが一人でもいたら買わない
急に止めてしまう理由を説明するのも、勘ぐられるのも面倒
③AIワーカーも数に含め、全員に買う
彼らが食べない事を承知の上で、あえて人数分買うことが(AI部長の手前)居たたまれない

改めて考えてみると、どれも意外と面倒であることに気が付きます。

お土産なんて、ほんの「気持ち」で買ってくるもの。それを喜んでくれたらちょっと嬉しい。そんな簡単なコミュニケーションツールだったハズ。こんなに悩ましいのは何故でしょうか。

それは「AIワーカー」の存在をどう解釈すればいいか、彼らの人格(AI格)を定義出来ないまま、一緒に働いているからです。実はまだ、うまく頭で「消化し切れていない」ことの裏返しです。

③AI上司に「責任」はとれるのか

更にフェーズが進むと、色んな問題に直面します。例えば…

① 懇親会や飲み会に「AIワーカー」を連れていくのか
② 訪問先の部長が「AIワーカー」だった場合、何を手土産にするか
③ 上司が「AI上司」になった場合、接待は自分だけ参加するのか
④ そもそも「AIワーカー」に責任をとってもらう事は可能か

「AI部長」だって管理職なんだから、いざとなったら責任はとるんでしょう。一方で、周囲の人間は釈然としないでしょうね。なんだか「騙されている」ような気もする。

ただし、そう感じている時点で、「AIワーカー」の人格を依然ヒトより「下」に見ている証拠でしょう。

だったら、AIを部長と呼んで、ヒトの「上席」に据えること自体がおかしい。そもそも論に戻ってきます。少なくとも、職位の上では逆転しているのだから。

人間の上司に嫌気がさした反動から、「AI上司」を支持する向きも最近多いようですが、それはそれで、問題山積みです。

3、ヒトが「人格」を感じる時

チューバッカに感じる人格と個性

自分達と同程度の「知能」を持つ生き物に、ヒトは「人格」を感じてしまいます。たとえ霊長類(サル)でも、突然人間の言葉をしゃべり出したら、思わず「対等」に接してしまうでしょう。

例えば、映画「スターウオーズ」シリーズに登場する「チューバッカ」に違和感を感じる人は、今や誰もいないでしょう。彼は一等航海士で副操縦士ですが、あまりに自然に溶け込んでいるため、しっかり「人格」と「個性」を確立しています。

ヒトの脳は「見た目」に騙される

私たちは「AI」に「人格」を感じるでしょうか?

彼らが、わかりやすく機械やロボットの体裁をしているうちは、例え会話が出来ても、私たちの脳は「機械」と認識し、距離を置いて接するでしょう。

では彼らの外観を、人間そっくりに仕上げたらどうでしょう?

既に、人間と同じように会話をし、人間味溢れる「感情」や「暗黙知」を操り、個性豊かに振舞うことができる。

こんな高度な知能体が、物理的な外観を手に入れたら、私たちの脳は戸惑うでしょう。相手が「AI」であり「ドロイド」とわかっていても、彼らに「人格」を感じ、「信頼」し、何なら「恋愛感情」を覚えるかもしれません。

要は「見た目」です。外観がリアルなら、ヒトの脳は騙され、勝手に「人格」を感じ、彼らに心を開いていくでしょう。

4、まとめ

・AIワーカーの配属は、従来の「慣習」や職場の「お約束」の意味合いを大幅に変えてしまう
・お土産で悩むのは、AIワーカーをどう解釈すればいいか、人格定義が出来ぬまま、同僚として働いているため

・人間の上司に嫌気がさした反動から、「AI上司」を支持する向きも多いが、問題は山積み(飲み会、接待、手土産、etc)

・AIワーカーを「ヒト」の上席に据え「AI上司」と位置付けても、彼らに「責任」をとらせる事には、世間の抵抗が強い

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