AIが上司になる日

【AIマンガ】報連相④AI部長のアドバイス(直球編)/AI上司/AI Boss12

AIと共存する社会Society 5.0。外出先で、首尾よく商談をまとめた課長と部下は、意気揚々と引き上げますが、電車のトラブルで会社に戻れません。

そんな時、社員スマホの「部長アプリ」が自動的に起動。AI部長から、直球でアドバイスが言い渡されます。AI Bossシリーズ第12弾。

1、AI部長のアドバイス/直球編





働き方改革/Boss5】の回で登場した「AI部長アプリ」ですが、当初アプリの導入にみんな戸惑っていました。しかし、徐々に「功利主義」に気持ちが傾き、誰かがインストールしたのをきっかけに、みんな横並びで入れてしまいました。今では全社員が導入済。

「部長アプリ」のおかげで、交渉に行き詰まった時も、助けを求めればAI部長が「打開策」から「押えるべきキーマン」まで、どこにいても的確にアドバイスしてくれます。

この利便性を手に入れた社員は、簡単に手に入る「アドバンテージ」に大満足します。

同時に、これまでのように、足を使って有利な情報を集めることは「非効率」と感じるようになりました。利便性に慣れてしまったビジネスパーソンは、いつの間にかアプリ無しでは仕事にならなくなってしまいます。

【部長アプリの威力/光】
コールセンターのオペレータ業務をAIが支援。ビジネスでも、一部でAIの活用が本格化してきました。

といっても、まだまだ助走期間ですが、今後、多少の労務問題があろうとも、そこに圧倒的な「経済合理性」があれば、オフィスへのAI導入は着実に進んでいくでしょう。

クラウド上の膨大なデータの中から、案件との関連性を瞬時に見出し、活用可能な「知識」としてストックするAI。その上、社内で脈々と受け継がれてきた「経験値(暗黙知)」ですら「形式知化」して利用可能なら、AIは外回りのビジネスパーソンにとって強力な武器になります。

また、AI部長は、営業部社員の「打合せ履歴」を全て把握しているため、取引先の企業情報だけでなく、相手担当者の「クセ」や「考え方」にまで精通しています。今後、商談に「マストな存在」になることは間違いありません。

とまあ、概ねこんな記事をよく目にします。
でも「AIがそんな強力な助っ人になるなら、営業なんて楽勝じゃん!」と思うなかれ。

武器の性能UPは相手も同じ。こちらのAIが相手の情報を掴んでいるなら、相手側のAIも、こちらの「ディープな情報」を握っているでしょう。

AI部長のありがたいアドバイスも、双方のAIレベルが上がってしまえば、闘う「土俵」は結局同じことです!

【部長アプリの威力/影】
一方で、社員がスマホに実装した「部長アプリ」は、緊急時や重要と判断した場面限定で自動的に起動。AI部長が直接指示してきます。

つまり、AI部長が社員をモニタ(監視)する時間は、社員がヘルプした時だけではない、ということになります。

更に、緊急性や重要性を判断する名目であれば、休憩中やプライベートな時間を監視下におくことでさえ、拡大解釈すれば可能でしょう。AIワーカーは実に仕事熱心です。

今回のケースでは、電車が止まって「困っているであろう社員」を心配し、緊急と判断したAI部長が「部長アプリ」を起動させました。

やっぱり、というか想定通り。緊急性の基準なんて、いくらでも拡大解釈できます。運用側にとって、都合良く理由付け出来るばかりか、実際どんな運用がなされているか、確認する術はありません。

さて、このエピソードでAI部長は、商談の指示のみならず、電車の「代替ルート」や、立ち寄ろうとしたお店の「営業時間」まで、親切に教えてくれました。

これには、さすがに社員も恐縮します。まあ、AI部長にヒトのような「二面性」や「裏の意図」があるのか、「腹の内」はわかりませんが…

※部長アプリ登場エピソード→【その他①働き方改革/Boss5

2、まとめ

・監視されるかもしれない「会社AIアプリ」の導入に、はじめはみんな戸惑うが、時間の経過とともに「功利主義」が蔓延
・結局は、みんな横並びでインストールする

・利便性に慣れた社員は、AIアプリ無しでは仕事が出来なくなる

・アプリが社員をモニタ(監視)するのは緊急時や重要な場面に限る
・とはいえ、緊急や重要等の基準は、曖昧で拡大解釈が可能
運用側に都合良く理由付け出来るばかりか、実際の運用を確認する術もない

・オフィスへのAI導入は、多少「労務問題」が発生しようと、圧倒的な「経済合理性」の前に着実に進んでいく

※「二面性」:ヒトの二面性は、他人をむやみに傷つけまいとする「気遣い」や、腹の内を簡単には見せない「したたかさ」など、いろんな感情から生み出されています。

しかし、二面性も度が過ぎると、組織を揺るがす「リスク」に発展することも。「働き方改革」が叫ばれるようになって以降、組織にますます増えている「行儀のいい会議」がもたらす潜在的な危険性について紹介します。

【コラム①】組織を揺るがす「ステルスな2大リスク」
【3章①】  会議を制する者がビジネスを制す

← 前へ次へ →

目次へ戻る⤴