目次
1、報連相のコツ/【事例】3つの報告スタイル
報連相のコツを浮き彫りにするため、典型的なモデルケースで比較します。
「ついやってしまう報告スタイル」から「理想的なスタイル」まで、3段階にまとめました。
場面設定:3人の若手担当者が、それぞれ上司(課長)から「案件を部長に報告するよう」指示された場面

3人の報告スタイルの違いと、聞き手(部長)が何を考えているか、併せてご覧ください。
<P1>
【レベル1】Raw Info /そのまま話す

【Aさんの例/報告のポイント】
・課長指示を受け、Aさんはすぐに部長席に向かいました。
・迅速な行動ですが、自分の頭では一度も整理していません。
・起こった事を、起こった順番に、生情報のまま伝えました。
Aさんはなぜ報告したのでしょう?もちろん課長に指示されたからです。自分の「will」ではありません(他責の仕事)。
このため、メッセンジャーとしてのタスクが終れば、すっきりと自席に戻れます。
【報告を聞いた部長】
・部長の頭は、疑問符でいっぱいです
・必死に話すAさん表情から、一体何なのか読み解こうとしています
・「で、何なの?」と突っ込むのを我慢し、更問もしませんでした
・これ以上、何の進展もありません
<P2>
【レベル2】INDEX Plus/目次をつけて話す

【Bさんの例/報告のポイント】
・部長席へ行く前に、一呼吸おいて考えました
・課長からの生情報にひと手間加え、頭の中で見出し(INDEX)を作っています
・冒頭では、全体の報告件数と「相談」があることを伝えています
【報告を聞いた部長】
・はじめに全容が把握できた部長は、気持ちに余裕が生まれています
・その分、部長の思考もレベルアップしています
<P3>
【レベル3】Completed report
/要点をまとめ自分なりの答えも用意

【Cさんの例/報告のポイント】
【1】事前準備
・報告の「要点」を絞り込み
・生情報に見出し(INDEX)をつけ、聞きやすいよう整理
・「同行者」や「併せて報告する案件」も確認。聞き手が「効率良く聞ける」よう配慮
・部長の中座に備え、3分で話せる「要約版」もシミュレーション。
→本当に「伝えるべき要点」を絞り込んで準備
【2】報 告
・冒頭に、全体概要、要点、最後に「相談」があることを伝える
・相手の反応を見ながら「話の濃淡」を調整
・特に「既知の情報」に要注意。時間を無駄にしないよう、重複を避ける
【3】相 談
・相談「4点セット」を手際よく伝える
①現時点でとり得る選択肢
②判断材料
③判断のタイムリミット
④それぞれの選択をした場合考えられる「リスク」と「影響」
・「私はこうしたい」という自分なりの選択肢を考え、その結果もシミュレーション済み
【報告を聞いた部長】
・これを聞いた部長は、案件のことより、Cさんの育成に主眼が向けられました
・担当者としての仕事は、ほぼ完成形(Completed report)です
・Make a completed report to your boss!
<P4>
2、報連相のコツ/【まとめ】3つの報告スタイル
【まとめ1】レベル1:Raw Info
/「上司指示がトリガー」の仕事に要注意
レベル1のスタイルは、絵で見ると突っ込みどころ満載ですが、誰もがやってしまいがちです。
実は「上司の指示がトリガー」という設定が、ひっかけのポイントでした。
忙しいので、つい「上司に言われたから来た」という態度をとりそうです。ですが、それでは単なる「メッセンジャー」。自責でなく他責の仕事です。
聞き手(部長)から見ると、何も考えていない「無責任さ」が透けて見え、とてもいやな気持になるものです。
→【1章④ 報連相の知恵2「自責切替の知恵」 P3~4】
でも、いつも「レベ3コンプレポ」
だとしんどくない?…仕事回るかな
武器(レベ3)は、いつ使うかが大事
普段あっさりしておけば、ここ一番で効いてくる
いつなら効果あるか教えて欲しい…
知識の知識「メタ知識」の領域だ!
「1章③」で説明していくよ
<P5>
【まとめ2】レベル2:INDEX Plus、レベル3: Completed report
レベル3の報告スタイルは、担当者の仕事として目指すべき理想です
一方で、いくつもの仕事を抱えながら、常に出来るレベルではないでしょう。
緊急度や重要性に応じ、普段は「レベル2」ここ一番で「レベル3」のようなメリハリをつけることが必要です(案件を天秤にかける知恵)
ひと手間かけて「レベル2」を心掛けるだけでも、聞き手の印象はガラッと変わります
【まとめ3】報告のタイミング(基本編)
報連相のタイミングは、間を開けず迅速に行うのが基本です。(ただし「応用編」では、別の切り口もご紹介)
→【1章⑤ 報連相の知恵3/応用編 P3~P4】
【報告のタイミング(基本編)】
・悪い情報ほど早く報連相。迅速なエスカレーションでリスクヘッジし、大幅な手戻りを避ける
・報告が遅れるほど、とり得る「選択肢」が少なくなる
・プロジェクトの進捗チェックの類なら、どんどん報告し確認を受ける
・コンプライアンスに関わる案件も至急報告
<P6>
3、してはいけないNG集、NGを裏返した仕事のコツ
1、言い訳から始める(無意識な口ぐせに注意)
2、ネガティブワードで話の価値を下げる
(「つまらない話ですが」「生煮ですが」..)
3、聞かれたことに答えない、遠回りして結論をにごす
4、不在で報告できない相手に、メールを送りっぱなしでフォローしない
1、言い訳しない(ミスは素直に謝る)
2、ネガポジ変換、積極的にポジティブワードを使う
3、聞かれたことにまず答える(Yes、No、5W1H)
4、メール報告には、必ず後でフォローする(直接会う or 電話する)
<P7>