1章 報連相の知恵

1章③ 報連相の「知恵1」/知識ベース・知恵ベースの仕事

ここまでは、報告内容や構成にスポットを当てました(知識ベース思考)
ここからは、「知識」の外側に広がる「知恵」の領域にフォーカスします(知恵ベース思考)

1、誰もががんばるフィールドでは差がつかない!
/「知識」ベースの仕事

上司へ報告する時、「頭の中」ではどんな思考回路が働いているのでしょう。ここでは、2つの階層に分けて考えます

報連相の知恵01図1 頭の展開図(その1)

①内側:「知識」をベースにした思考/形式知が中心で、他人からもよく見える
②外側:「知恵」をベースにした思考/invisibleな能力で、他人から見えにくい

例えば、資料作りのテクニックや報告手順のように、目に見える仕事には「知識ベース」の思考回路が働いています。形式知が中心のため、他人からわかりやすく、短期的な評価につながります。

この分野には、数多くのビジネス書籍が存在します。また、研修で教えるスキルやテクニックも、この「知識ベース思考」のフィールドです。

つまり、私たちビジネスパーソンの誰もがはっきり「認識」でき、誰もが意識して「がんばろう」とする分野、言い換えれば「差がつき難い」フィールドです。

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2、誰もが意識するとは限らないフィールド!
/「知恵」ベースの仕事

一方で「知恵」ベースの仕事は、誰もが意識しているとは限りません。普段から「知恵」を使って勝負する人、しない人、使っているのに自覚がない人など、実態は様々です。

人により習慣が異なるため、その積み重ねは「長期的な評価」に大きな差を生むことになります。

例えば、報告前に案件の全体像を俯瞰し「プライオリティ」をつけて話す習慣や、自分の行動が関係者へ及ぼす影響に、思いを巡らす習慣です。

その他、タイミングを見計らったり、「場」に配慮したり、無意識に使っている「知恵」はたくさんあります。

「知恵」とは、①背景や現象から「本質を見抜き」②知識や情報を材料として、③相手にとって「意味のある」アウトプット(報告)をする能力です。

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これら「知恵」ベースの仕事は、やらなくても、直ちに影響が出るものでもありません。また、目に見えないため、存在自体あまり意識されず、書籍や研修にもなかなか登場してこないのが実情です。

ジェームス
ジェームス
目にみえないなら
テーマとして扱いずらいのでは?
ロバート
ロバート
確かに、活字にしにくいし
法律のように体系化するのは難しいね
リー課長
リー課長
だからこそ「知恵」ベースの仕事では
将来大きな差ができるんだ!

同期入社で、同じような知識・ライセンスを持ちながら、いつの間にかキャリアに大きく差ができてしまう原因が、この「知恵」ベースの仕事にあります。誰もが頑張るフィールドでないからこそ、差がついてしまうのです。

ジェームス
ジェームス
「知識」ベースの仕事は
みんなが同じようにがんばるんだね
ロバート
ロバート
「知恵」ベースの仕事は
する人としない人の差が大きい!
「知識ベース思考」の
仕事の特徴
・仕事の成果が目に見える
・誰もが意識する
・誰もがかんばろうと努力する
・短期的な成長と評価につながる
「知恵ベース思考」の
仕事の特徴
・他人からは見えにくい
・誰もが意識するとは限らない
・人により「知恵」を使う習慣には差がある
・中長期的な成長と評価につながる

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3【大公開】最早組の思考法
/「知識」ベース思考と「知恵」ベース思考

上司へ報告する時、頭の中ではどんな思考回路が働いているか示したのが、下の模式図です。前出の「最相組」若手担当者がモデルです。

分かりやすく「知識」ベース思考と「知恵」ベース思考を色分けしていますが、実際には順不同、ごっちゃに考えています。

特筆すべきは「知恵」ベース思考の部分。多くの事柄を瞬時に、しかも無意識に判断していることが多く、煩雑なため、次の記事で一つ一つ解説していきます。

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報連相の知恵02図2 頭の展開図その2
報連相の知恵03図3知恵と知識ベース項目解説

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