3章 会議の知恵

3章④ 会議の「知恵2」/役割分担/主体性の知恵

1、役割分担の知恵

「共鳴する知恵」の次は「役割分担の知恵」についてです。

会議終盤で悩ましいのは、濃淡ある様々なタスクを、各担当にどのように分担していくかでしょう。ありがちなのは、時間切れで分担できず、結局仕事ができる「いつもの担当者」に集中するケースです。

じぇーむす
じぇーむす
結局、いつものAさんが
やった方が早いって!

実は、この方法が最も手っ取り早く、仕事のクオリティーも高いでしょう。参加者もみな気づいています。しかし「いつもの担当者」だけが消耗する一方、組織が育っていかないのも確かです。役割分担のパターンを3つの型にまとめました。

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(1)タスク集中型

<メリット>
・仕事ができる担当者にタスクを集中させるため、手戻りが無く、仕上がり品質が最も高い。
・会議で決めた以上の成果が期待できる
・手っ取り早く決まる

<デメリット>
・いつも同じ担当者に仕事が集中し、消耗戦になる
・他のメンバーが育成できず、長期的に組織が育たない
・他メンバーが甘えることに慣れてしまう

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(2)バランス分担型

<メリット>
・表面上、参加者全員にタスクが分担されるため、公平性と満足感が高い
・重要な仕事(キータスク)はAに任せるため、仕上がりの品質も、ある程度担保ができる
・A以外のメンバーにも、それぞれの特性に応じたタスクを割り当てられる(専門分野や経験値を生かせる)

<デメリット>
・Aが取りまとめる段階で、結局は他メンバーの仕事を修正するため、手戻りが発生する
・締切が迫ってからの二度手間を嫌い、A自身も「はじめから自分でやった方が早い」と諦めてしまう

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(3)小チーム編成型

仕事の分担を「個人」ごとでなく「小チーム」ごとに分担していきます。

<メリット>
・小人数チームのため、中核メンバー以外の担当者も手を抜きにくい
・Aのフォロー範囲をチーム内に限定できるため、Aの負担軽減につながる
・Aには、別プロジェクトを割り振る余力が生まれる

<デメリット>
・Bチーム、Cチームの仕上がり品質が担保できない
・ある程度まとまった人数が必要

どのタイプにもメリットデメリットがあります。このため、案件の緊急度・重要性によって、メンバーの資質・強み・経験値を見極めながら、効果的な分担を考えることになります。

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悩ましいのは、どの方法にもジレンマがあることです。

【相反する2つの要素】
 ・仕事の品(仕上がりのクオリティ)
 ・メンバーのモチベーションや納得感

短期決戦なら「仕事の品」を優先で「①タスク集中型」を選択すればいいでしょう。Aさん以外も負担が減るので反対はしないハズ。一方で、大事な仕事を任されない、つまり「能力不足」を認めることにもなるため、モチベーションの低下や「やり切れなさ」が残ります。

逆に、メンバーのモチベーションに配慮し、育成を優先するなら「仕事の質」はある程度犠牲にせざるを得ません。

判断のポイントは、短期的な解決ばかり意識するのでなく、このメンバーで今後の仕事を進めやすくすることです。中期的な組織の成長は、次のプロジェクトにも発展していきます。

じぇーむす
じぇーむす
そうは言っても
目先の仕事が気になるぞ…
りー課長
りー課長
その人の強みや得意分野を
上手く生かしてあげるのも
腕のみせどころだね

「役割分担の知恵」とは、相反要素を上手に天秤にかけながら、少し先の成長も目指していく知恵です。

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2、会議参加者の主体性を刺激する知恵

「何か意見はありませんか?」
盛り上がらない会議を少しでも活気づけようと、何度も呼びかける司会者。よくある光景ですが、参加者が冷めた状態で発言を促すのは難しいでしょう。

こんな時、参加者が「発言したい」と思う、主体性を高める「しかけ」が必要です。

ろばーと
ろばーと
北風と太陽だね!

① 参加者の強みや専門性を踏まえ、得意分野で議論を振るなど、発言しやすい状況を作る(参加者の「主体性」・「意欲」を刺激する

②経験豊富なベテラン参加者に敬意を払い、教えを乞う姿勢で味方にする(しょうがない、教えてやろう)

③ 相手の発言は、目を見て傾聴する

④ 参加者の発言を活かし、次の議論に展開する(意見を無駄にしない)

「主体性」や「意欲」を刺激するには、参加者の「満足度を高める知恵」が必要です。自然な議論が演出できれば、参加者も次第に熱を帯びてきます。

参加者の満足度を高めることで、次のような効果も期待できます。

・「傍観者」を「積極的な参加者」に変える
・客観的な意見(他人事)が当事者としての意見に変わる
・会議が進むにつれ、参加者が互いに共感する場面が増える
・会議後のアクションにも自覚が芽生え、責任を持って取組むようになる

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