【選択の魔法】3つの法則

序章②【選択の魔法1】些細な選択が引き寄せる大きな結果_レベルⅡ

3段階の選択レベル

夢を叶える「選択の魔法」。 1限目は「些細な選択」が引き寄せる「大きな結果」についてのお話です。

ヒトがモノを選ぼうとする時、ハッキリ「意識」する時から、「無意識」に選んでしまう時まで、場面によってかなり温度差が見られます。

ここでは、話を分かり易くするため、選択時の「意識レベル」を3段階に分けて考えます。

  1. レベル1:ハッキリ意識して選ぶ「選択」/Conscious
  2. レベル2:何気なく選ぶ「選択」/not very conscious
  3. レベル3:選んだ意識がない「選択」/Unconscious

例えば、進学や就職など、人生がかかった大一番は「①」の選択。

ヒトは、人生を左右する「大切な選択」と気づいた瞬間、自分の意識に火がつきます。プライオリティを一気に上げ、選択肢を一つひとつ「じっくり」吟味するでしょう。

逆に、大して重要でないと感じると、あっという間にプライオリティを下げてしまいます。日常の「些細な選択」なら、「②何気なく」「③無意識に」済ませるでしょう。

つまり、プライオリティに応じて「関与する度合い」を変えているのです。

このやり方は、一見「理」にかなっていますが、そこには「落とし穴」も潜んでいます。

特に要注意なのは、偏った選択を「②何気なく」繰り返している場合。ちょっとしたクセでも、いつも右にハンドルを切っていたら、最後は大きくコースアウトするでしょう。

それが「③無意識」なら、事態は更に深刻です。何しろ、選んだ本人に自覚が無いため「修正打」が打てません。偏った選択(=曲がったベクトル)を続ければ、徐々に軋轢が生まれ、反発やトラブルを招くでしょう。

実際に、私たちが「些細なコト」と割り切り、大して意識しない「選択」にはどんなものがあるでしょう?安易な選択が「引き寄せる」結果と共に、身近な例をいくつかご紹介します。

レベル2:何気ない選択/not very conscious

「何気ない選択」は、その人の本心を映し出す鏡です。「どっちでもいい」「どうせ他人にはバレない」他人に気づかれたくない「素の感情」が、筒抜けになっている可能性も。安易な選択にはご用心。

(1)初級:研修会場で「何気なく選択」

研修会場に早めに到着したあなたは、「空いている席に自由にお座りください」と言われました。あなたならどこに座りますか?

研修会場で最初に埋まっていくのは、経験上、真ん中よりやや後ろ「3分の1」程度のエリアです。

実際、そのあたりが一番目立たない「安全パイ」だと感じて、何となく選ぶ人も多いのでは?

その「何となく」を裏読みすると、「講師に指名されたら面倒だから、後ろの方にしよう。ただ、あまり後ろでも逆に目立つかな?」大体こんなところでしょうか。

学生時代なら、「学習意欲」と「教師との関係性」等、座席を決めるパラメータは割とシンプルでした。

一方で、社会人になると、色んな意味で「悪目立ち」を避ける傾向が大きくなります。

ところが、壇上に立ってみると、これが目立たないどころか、受講者の様子は手に取るようにわかります。もちろん、コンフォートゾーンに陣取って「居眠り」する人たちの姿も。

ちなみに、受講者が何を思ってそのエリアを「選択」しているか、講師はたいていお見通しです。それが商売ですから。

まあ、気にし過ぎるのは本末転倒ですが、「講師はノールックでもお見通し」「一人ひとりの顔が見えている」くらいは心得ておきましょう。

不思議なことに、そう意識するだけで「適度な緊張感」が生まれ、積極姿勢が「目」に現れます。程よい緊張感は、講師にも「心地いい」刺激を与えるため、授業がより一層面白くなるかもしれません。

逆に「どうせバレないだろう」という安易な下心も、講師にしっかり伝わっています!当然、互いのモチベーションにも影響するでしょう。

(2)中級:社員食堂で「何気なく選択」

いわゆる「座席行動」の心理は、講師や人担※にとってポピュラーなテーマです。※人事担当者

相手に「好意」や「親近感」を抱いているか、あるいは「苦手意識」や「対抗心」なのか。相手との距離や角度が、それを雄弁に物語っています。

私たちが「何気なく」選んだ席は、「率直な気持ち」を推し量るバロメーターとして、利用されているかもしれません。

ところが最近、この「ノウハウ」も一般的になり、ビジネスパーソンに広く知れ渡るようになりました。

「方程式」を巧みに使い、交渉を有利に運べたのは一昔前のこと。両者が知った時点で、アドバンテージは消滅します。

今は、相手も知っている体で交渉に臨み、妙な「裏読み」をしない方が無難かもしれません。

ところが、「社員食堂(カフェテリア)」は例外です。

この場所は、社内でありながら、「フォーマル」な空間ではないからです。

むしろ、ビジネスパーソンが緊張感から解放され、「素の自分」に戻る場所。この時ばかりは「心理戦」も「裏読み」も頭にないでしょう。

だからこそ、「座席行動の心理」が素直に出てしまうのです。

誰だって、ほっとできるランチタイムに、「気の合わない連中」の近くで食べたいとは思わないでしょう。誰がどこに座っているか、状況を一瞬で見極め、ちょうどいいポジションを決めているのです。

「そんなこと、いちいち気にしてない!」。自分では「何気なく」選んでいるつもりでも、「とっさの判断」だからこそ、誰をどう思っているか、本心が素直に表れてしまうのです。

この場所は「フォーマル」と「インフォーマル」の間に位置する、組織に閉じた特別な空間。互いの心理が見え隠れする「場」でもあるのです。


もっとも、そんな煩わしさを敬遠する向きも多いので、コスト削減の折、「社員食堂」廃止論は、たびたび遡上に上ります。

はっきり言って、何の気兼ねもなく社員食堂が利用できるのは、そのこと自体「恵まれた境遇」にいることを、感謝すべきだと思います。

(3)上級:フリーアドレスで「何気なく選択」

「座席行動」の心理を、更に巧みに利用したのが、オフィスの「フリーアドレス」です。

オフィスには、あえて座席を決めない「フリーアドレス」という方式があります。自由な働き方&コストカットを両立できる施策として、10年周期くらいで脚光を浴びています。

フリーアドレスとは、建て前上、どの席で仕事をしても自由。ところが実際は、いつの間にか席が定着することも多いようです。

よく見ると、役員や上司など、いつも意思決定権者の「近くに座る人」と、逆に「離れて座る人」に分かれる傾向が出てきます。

役員の近くに座るには、それなりに強い魂が必要でしょう。が、それだけアピールにもなります。一方で「何となく」距離をとる人も多いハズ。

上司や人担は、フリーアドレスに管理職や役員が混ざって座れば、この「心理戦」が展開されることも、当然承知しています。

フリーアドレスとは、(何も言わずとも)社員の「思考」と「心理」が「見える化」されてしまうシステムです。