【選択の魔法】3つの法則

序章④【選択の魔法2】こだわりを捨てれば広がる選択の幅

夢を叶える「選択の魔法」。2限目は、自分で「選択の幅」を広げていくお話です。

1、ready‐madeな選択肢

人生には様々な「選択」がありますが、今度は切り口を変えて、タイプの違う2種類の「選択肢」に迫ります。

既製の選択肢(ready‐made)とは、例えば「ランチメニュー」。

お店には、あらかじめ決まった「メニュー」が用意されており、その中からしか選べません。

選択肢は決まっているものの、わがままを言わなければ、テーブルに着いた全員に、選択権(選ぶ機会)が与えられます。

文字通り「既製の選択肢」が既にあって、その中から選ぶのが「1、ready‐made」タイプです。

そう考えると、進学や就職といった節目の選択から、日常の服装、食事選びに至るまで、人生の選択は、ほとんどが「既製の選択」であることがわかります。

2、handmadeな選択肢

これに対して、日常の1コマに潜んでいる、新たな「選択肢」の可能性にスポットを当てるのが、handmadeな選択です。

(1)初級:上司と部下の「選択」

例えば、先程のランチタイムシーン。

ガッツリ系のメニューを見て、「“そば”はないのか!」と横柄な態度をとる上司にとっては、そうするのが当たり前。

ところが、「この辺は色んなお店がありそうだから、次回はおいしい“そば”や“うどん”の店も開拓しよう!」と、部下のテンションを上げることも出来たハズ。

逆に部下の立場では、メニューを見て、「どれも美味しそう!」とアレコレ悩む前に、「あっさりメニューが無いけど、課長大丈夫かな?」と気遣う選択肢もありました。

このように、物事をどう受けとめ(INPUT)、相手にどんな「態度」や「言葉」で接するか(OUTPUT)。これも、れっきとした選択のひとつです。

だとすると、今まで考えもしなかった「新たな選択の芽」が、身近な1コマに潜んでいる、ということになります。

このタイプの選択は、INPUTもOUTPUTも、自らの内面(脳や心の働き)に起因するため、自分次第で「素敵な選択肢」を創り出し、その後の「流れ」を一変させることが出来るのです。

メニューに無いことは百も承知で、「そばはないのか!」と横柄な態度をとる以外にも、部下への言葉はたくさんありました。

(2)中級:こだわりを手放す「選択」

それはきれいごとだ。部下のご機嫌をとってどうする!

世代が違えば、考え方や価値観も違います。もっと相手に「寄り添え」と言われても、愉快ではないでしょう。

キャリアが長ければ、その分こだわりも多くなり、アドバイスを素直に聞くのは難しくなってきます。

実際、何を言われても「きれいごと」にしか聞こえない、というのが正直なところでしょう。ただし、その「こだわり」は、自らの可能性をどんどん閉ざしてしまいます。

一方で、こだわりを手放せば→「新たな選択肢」を手に入れ→「選択の幅」を広げていける、という「からくり」になっています。

これまでかたくなだった人ほど、「手放す」ことの大きな効果に驚くはず。自分の想定を超えたところで「事」が動き始め、世界観が広がっていくのを肌で感じることでしょう。

(3)上級:旅先で見つけた新たな「選択」

冒頭で取り上げた旅館到着シーンには、2つのシナリオを用意しました。

高級旅館で名高い温泉宿に到着したら、スタッフはみな団体客にかかりきり。残念ながらあなたは、玄関で少し待たされてしまいます(再掲)。

当事者でなければ、冷静な「評論家目線」で眺めることもできるでしょうが、当事者の目には、果たしてどう映っているのでしょう?

実は、本人はいたって普通。自分の思考パターンに従い、いつも通り「腹を立て」「イライラした」にすぎません。それが彼にとっては既定路線。

それ以外に「別の受け止め方(より良い選択肢)」があるなど、よもや考えてもいないでしょう。

一方で、その時の状況を「俯瞰」し、少し上の方から眺めてみると、わがままな団体客にも丁寧に対応する、女将の「一生懸命な姿」が見えてくるかもしれません。

「こだわり」を手放すと、不思議なことが起こります。

イライラする選択肢の他に、「慌ただしい中、気持ちよく出迎えてくれた女将に感謝する」という、これまで想像もしなかった「別次元の選択肢」が見えてくるのです。

このように、もともと「一本道」だった思考回路に、もう一本「別の道」を用意して、新たな「分岐点」を作り出す。これが自ら作り出した「handmadeな選択肢」です。

入社当時はパッとしないのに、途中で頭角を現し「化ける」ヒトたちは、この「からくり」に気がついています。彼らの「世界観」は、明らかに広がっているのです。

「こだわりを手放すことで、自らの内面がコントロールでき、選択の幅が一気に広がる。幅が広がれば、人生をスパイラルアップ出来てしまう」。これが彼らが気づいた「真理」です。

(4)「選べる」幸せと「選ばない」幸せ

反対に「与えられる」ことに慣れ、普段から受け身で過ごしていると、日常に潜んでいる「新たな選択の芽」「大切な分岐点」を、丸っと見逃してしまいます。

怖いのは、「見逃した事実」に本人が気づいていないこと。

「チャンスを逃した」と思わなければ、悔やんだり、別の道を探ろうともしないでしょう。右か左か悩む以前に、そもそも「より良い選択がしたい」という「問題意識」自体が発生しないのです。

「選ぶ余地」が無い、いや「選ばなくて済む」平坦で穏やかな一本道は、1次元の世界にそっくりです。

1次元の住人は、「与えられた道」をひたすら前に進むだけ。だからと言って、不満がある訳ではありません。

その世界が「不自由」だと気がつき、「違和感」を感じるためには、少なくとも、3次元から眺める必要があるからです。

昨日も今日も、朝から満員電車に揺られる生活に、不自由さや違和感を感じるかどうかもまた、その人が「どこから眺め」「どう受け止めるか」次第です。

気づいた人だけ手にするチャンス。これが「選択の魔法」2つ目のテーマです。